THE WAY TO INDIA

〜ためになる予習〜





インドビザ
滑り込みセーフ!







見よこのぎりぎりっぷり。
Date of Issue(発効日)=1月31日。







3日前までVISAカードとビザの違いがわからなかったオレだったが、インド大使館になだれ込み見事出発前日にゲット。直接大使館に行ってしまうところが我ながら凄いところだ。普通だったら面倒くさいから旅行会社に頼むぜ?
勿論、3日後に出発するオレには
直接大使館に行く以外の選択肢はなかったのだが。

さて、一息ついたオレはインドについて予習をすることにした。はっきり言って、インドといって頭に浮かぶことなんてカレーとタージマハルとレインボーマンくらいだ。
むむっ、といことはインドには死ね死ね団がでるかも。
死ね死ね団がでたら是非 「仮面ライダーのキャラクターだと思われて不本意じゃないですか?」と聞いてみたい。そう、死ね死ね団はあくまでもレインボーマンの敵役なのだ。
レインボーマンはもともとヤマトタケシという普通の青年だったのだが、妹の手術費を稼ぐためにプロレスラーを目指し、プロレスラーになるためにインドの仙人へ弟子入りし、厳しい修行を乗り越えついに変身する超能力を身につけ正義の味方になるのだ。
プロレスラーになるためにインドに行くというところがいかにもつじつまがあっていないように思えるが、やはり彼もオレと同じくインドマジックにかかったのだろう。
おそらく最初は「レスリングの極意を学びにフロリダのゴッチ道場へ行く」ことにしていたに違いない。 それがどのような経過を経て「超能力を学びにインドの仙人に会いに行く」に誘導されたのかは知る由もないが、おそらくバラナシの野良ヤギあたりに呼び寄せられたのだろう。
ところで、正義の味方というのはどちらかというと低所得者層になると思うのだが(というよりボランティアではないか?)、妹の手術はあきらめたのだろうか。仮に正義の味方の空き時間にプロレスラーをやったとしても、名前がレインボーマンで得意技が変身ではせいぜい大阪プロレスどまりだろう。山奥で修行したというプロフィールもヨネ原人の2番煎じのようでどうも面白みにかける。
結局かなりの低収入のはずで、おそらく残念ながら妹さんは助からなかったのではないか。
プロレスラーを目指しフロリダへ旅立ったと思っていたのに突然インドから帰ってきた兄の 「オレ、変身できるようになったんだ!これからは正義の味方なんだぞっ!!」という言葉を聞きながら死んでいったと思われる妹さんの気持ちは察するに余りある。

ふう。

さあ、これでだいぶインドのことがわかってきたぞ。




……。




レインボーマンの予習をしている場合ではない。
多分インドではレインボーマンの知識が役に立つことはあまり無いだろう。
心を入れ替え、地球の歩き方やネットで見つけたインド旅行記を読んでみる。

とりあえずいくつか体験記や注意事項を読んでわかったことがある。
それは、訪問場所や時期が違っても旅行者は必ず共通して物凄い下痢になることと、金のトラブルに巻き込まれるということだ。

まず下痢についてだが、インドはかなり不衛生らしい。どう不衛生なのか想像はつかないが、投稿している人や旅行記を書いている人は全員かつて経験したことのないような強烈な下痢を体験している。
そして金銭トラブルは、タクシーやガイドに料金をふっかけられたり、変な旅行会社で無理矢理ツアーを組まされたりすることが多いようだ。主に空港からの交通や、大都市に多いトラブルらしい。
普通だったらちょっと旅に出るのを躊躇してしまうような内容である。
しかしオレは思った。
こんな風に自分の体験をなんらかの形で発表している人は、面白く見せるために必ず出来事を誇張して書いているはずである。そして、まず普通に考えて全員がこんな経験をしているということはありえない。なんにも被害にあわなかった人というのはもとから投書などしないだろう。
そもそも本当にみんな体を壊したりボられたりするんなら、インドへ旅行する人なんていないはずだ。
そうやって極力自分を安心させるように心がけていたのだが、一応念には念をということで、昔の仕事仲間のインド経験者に電話をかけてみることにした。
実際に旅を体験した人が言ってくれればより安心できる。旅立つ前に不安は極力減らさなければならないからな。
受話器の向こうのSさんに今回の旅の計画を話し、彼がインドにいた時に体調を崩したかどうか聞いてみる。下痢になりました?大丈夫でしたよねー?

「あー、なったなった。一週間くらいの絶え間ない下痢。もう全くとまんなくてさー、あんときゃ俺もう死んだなと思ったね。」


あっそ。

……。
ところで、何かトラブルに巻き込まれたりそんな話聞きました?
さすがに身近ではそんなことは起こんなかったですよねー?

「あー、あったあった。タクシー乗ってたら脇道で突然降ろされてさー、いきなり殴られて金とられたんだよ。あんときゃ俺もう死んだなと思ったね。」


 あっそ。

 ……。






 不安削除失敗。むしろ大増殖


 経験者の話を聞き不安を取り去って旅に臨むつもりだったのだが、結果今のオレは、無職の息子の部屋を久しぶりに覗いたら、本棚に「太陽の法」「永遠の法」「繁栄の法」など大川隆法シリーズが並んでいるのを発見した父親のような、先の見えない不安に襲われているのであった。










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