〜ハラレ3ーマシンゴ〜





 真っ暗な部屋の中。
 その福さんのスピーカーからは、淡々と稲川淳二の声が流れていた。


「あれっ?おっかしいな・・・。そんなわけないと思ったんですけどもですねー、たしかに歩道橋の下から女の人の声がしたんですよ。でもね、こんっな夜遅くだしね、ましてや下は国道が走っていて、通行人なんて歩いてるわけない。でまーきっと気のせいかなんかだろ、と思ってまた歩き出したんです。」


「・・・。」


「そうしましたらですねー、丁度歩道橋の真ん中まで来た時でしたかね。また声がするんですよ。
『いたい・・いたい・・・』って。あっれおかしいなあ、誰かいるのかなあ、ってちょっと探してみたんですね。もう夜中の2時で、歩道橋には明かりなんて無いんですけど、そんな誰か他の人がいたとしたらわかるに決まってますよ。でもって、周り見回しても誰もいない。それなのにやっぱりなんっだか女の人が苦しそうにうめいてる声がするんです。」


「・・・。」


「よーく聞いてみると、声はやっぱり下の方からするんですよ。下っていいましても国道なんですけどね、声がするのはすぐ下なんです。ほんの1mとか2mくらいな感じで。手すりのすぐ向こう側から。ちょっとねー、『あ、いやだなー、怖いなあ』って思ったんですけどね、もし誰か事故でも遭ってたら大変なんで、手すりの方に歩いていったんです。」


「・・・。」


「もう、すぐこの下から声が聞こえてきてるわけです。
『うぅっ。ぐううっ。』って気味悪い声。でも覚悟して、そお〜っと手すりから身を乗り出しました。だんだん下が見えてきますよねー。でね、何が見えたかっていうと・・・。手すりの下の鉄筋と、その下の道路。やっぱりそれしか見えないんです。」


「・・・。」


「なっんだよ、やっぱり空耳だったよ。ホッとしてまた歩き始めたんです。・・・そしたら、後ろの手すりからなんかズッ、ズズッ・・・ズズズズッ・・・って音がしたんです。あれ?なんだ?って振り向いたんです。・・・そしたらねえ、手すりの向こう側から、車にはねられたんですかね、顔が半分変形しちゃってる、血まみれの女の人が僕の方をじーっと見ながら、ズッ・・・ズズッ・・・って這い上がって来たんです。」

























「いやあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」



キャアーーッ!