〜ギザの三大ピラミッド〜





 先に登場した階段ピラミッドや屈折ピラミッドを含め、ひと口にピラミッドと言ってもエジプトに限らず多くの種類がある。しかし、全世界の人々が「ピラミッド」といって真っ先に思い出すものは
ただ1つである。もちろんそれはオレも同じだ。そう、アーティストハウス・ピラミッド所属の熊田曜子である。公式ホームページはこちら
 今までオレは、折に触れて曜子ちゃん曜子ちゃんと叫んで来たが、ピラミッドの話が出たからには
もう出し惜しみはしない。ここで彼女の魅力について、行数を割いて大いに語りたいと思う。
 デビュー当初は数ある巨乳系グラビアアイドルの中の1人だと思われていた彼女が、いかにしてバラエティ番組で視聴者とプロデューサーの心を掴み、どんな努力をして、他の消えゆくアイドルを尻目に決して誰にも嫌われることなく魑魅魍魎の跋扈する芸能界で何年も活動を続けて来られたのか……
 
っておい!!!!
 
ピラミッド違いだよ!!!!!

 いやー、
間違えちゃった。ピラミッドといえばギザのピラミッドだった。そうです。誰もがピラミッドといって真っ先に思い浮かべるのは、ギザの3大ピラミッドなのです。曜子ちゃんは2番目に思い浮かべるものでした。
 まあ、でもピラミッドの話が出て熊田曜子ちゃんに
全く触れないっていうのもおかしいじゃん? 逆に「何かあったのかな」なんてみんなに余計な心配させちゃうとまずいと思って。ゆうこりんの会見もレポーターが「はまぐち……」の単語を発した瞬間強制終了されて逆にみんなの不安や反感を買ってたし、オレもああなるのは避けたかったんだよね。








 
ズズーーン

 


 これが今から4550年前に造られた
世界最大のピラミッド、クフ王のピラミッドである。世界の学者が知恵と英知と当てずっぽうを結集してもその建造理由は未だ判明しておらず、世界7不思議のひとつになっている物体だ。
 尚、知らない人が多いと思うので参考までに述べておくと、世界7不思議とはこのギザの大ピラミッドの他にバビロンの空中庭園、ケンシロウの服、オリエンタルラジオの人気、大学いもや大学ノートについている「大学」の意味、
万引きGメンのおばちゃんはちゃんと毎日仕事があるのか、田中真紀子や辻本清美はどうして自分の前科をさしおいて平気で他人の悪口だけをひたすら言い続けられるのか、の7つである。どれも現代科学では解明できない、本当に不可思議なものばかりだ。
 ピラミッドつながりということで熊田曜子的な視点で見ると、仮にこのクフ王のピラミッドをブラのカップに直したらどのくらいだろうか? これは今までどの学者も恥ずかしくて切り込まなかったことだと思うが、おそらくワコールも含めてみなが気になっていたに違いない。資料から計算してみたところ、
トップとアンダーの差が147mくらいなので、もうZカップを超えているのではないか。こりゃなかなか適当なサイズのブラを探すのも大変じゃわい。

 ピラミッド建造の技術の進歩については、階段ピラミッドから順番に考えると非常にわかり易い。まず第一弾は最も簡単な方法、階段方式で造ってみて、次は屈折ピラミッドで違う角度を試して調節が行われる。そしてこのギザのピラミッドでピラミッドが美しい四角錐へと変わり、ピラミッド技術の完成を迎えたということであろう。
 まあ完成したのはいいが、ちょっと
踏み台にされた階段とか屈折の王がかわいそうだ。長州力は藤波に対する「かませ犬発言」でブレイクしたが、階段のジュセル王、屈折のスネフェル王は「オレはクフ王の噛ませ犬じゃない!!」と冥界で叫んでいることだろう。





 上の写真、左側が階段ピラミッド、右側がクフ王のピラミッドなのだが、石ひとつ見てみても大きさ厚さ形と全く違うということがわかると思う。
 まだ技術力の無かった初期の頃はどうしてもひとつひとつの石は小さくなってしまう。それが100年の時を経てピラミッド技術が成熟してくると、きっちり形のある大きな石を使用することができるようになるのだ。オレの作る麻婆豆腐の豆腐はいつもぐちゃぐちゃになるが、餃子の王将の麻婆豆腐にはいつも立派な立方体の豆腐が入ってるということも、
このピラミッド技術の進化の理論で説明がつくであろう。

 この巨大な石を、ソリに乗せて労働者がみんなで
「うんとこしょ! どっこいしょ!」と何キロもの距離を運んだのだ。それでもかぶはぬけません。石ひとつの重さは3tもあるため、運搬時にはソリの前に油や牛乳を撒いて滑りやすくしたということだ。それじゃあ運ぶ人もみんなツルンツルン滑って進めないだろうに。まったく、古代エジプト人は何を考えていたのだろうか。アホだったのだろうか。
 しかしそれでもこのクフ王のピラミッドは、1889年にエッフェル塔に抜かれるまでずっと
世界一高い建造物だったということだ。まさに4400年余りもの間、記録を守り続けていたのである。雷電為右衛門の優勝記録や、島田紳助の番組などに出ていたお見合いで断られ続ける男の記録など目ではない。4400年である。お見合いの連敗記録くらいでピラミッドに対抗しようなどとはまったく笑止千万だ。

 尚、隣にあるカフラー王のピラミッドには、下の写真のようにまだ頂上部に化粧石のコーティングが残っている。クフ王のピラミッドの表面は下から上まで石がむき出しになり、
ビートたけしがハンドルを握った時の明石家さんまの愛車のようにボコボコになっているが、どのピラミッドも本来の姿はこのすべすべコーティングがずっと下まで続いていたのである。やはりピラミッドといえども歳には勝てなかったということか。もう5000歳近いのだから仕方ないといえばそうなのだが、エジプト文明の財産なのだから、化粧水と美容液の後は高い乳液を使うなりして、もうちょっと滑らかさを保って欲しかった。





 さて、とりあえずここまで来たからには、外から見ただけでハイ
おつカレーライス! さようなら! とはいかない。きっちりクフ王のピラミッドの中に入ってピラミッドパワーを装填しなければならない。
 ピラミッドパワーという言葉はよく耳にすると思うが、これは、ピラミッドの形状をしたものが秘める不思議な力のことを指す。例えば中に食べ物を置いておくといつまでも腐らなかったり、切れなくなったカミソリが切れるようになったり、ラブホテルなどではピラミッド型の枠の下にベッドを取り付けておくと
誰もがバイアグラいらずになるという。
 今の中で
1つだけはオレが勝手に作った捏造エピソードだが、それでもここには何か生命力を活発化する力が宿っているというのは有名な話らしい。
 こうなったら、オレもパワーを浴びて下痢にならない体になってやるんだ!!! さらにピラミッドパワーにより
ハンサムになれたらもっといい。入った時はただの作者だが、出てくる時にはオーランドブルームになってやる。太陽系最大のピラミッドパワーを使えば、それも努力次第では不可能ではないはずだ!

 盗掘用に掘られた穴から進入し、まずはこのような、7人の小人くらいしか満足に通れるやつはいないだろうと思われる狭い通路を身を屈めながら下る。
 そしてしばらくすると今度は天井の高い、だだっ広い大回廊の階段を上るのだ。その先、高さ1mくらいの小さな穴をくぐったところが、いよいよピラミッドの中心となる玄室である。

 さあ、オレも玄室でピラミッドパワーを注入、
オーランドへと進化する時が来たのだ!! そしてキーラナイトレイと結婚(愛人でも可)するのだ!!!!

 ……。

 ん? なんか大変混雑しているぞ??
 だいたい学校の教室くらいの広さの玄室には中央に空の石棺があるのだが、なぜかその回りを50人くらいの白人が取り囲んでいる。なんだろう。白人さんの団体ツアー客だろうか??
 しかし、観光客にしてはどうも様子がおかしい。
 輪の中心、なんと貴重な石棺の中に女が1人入り込み、なにやらぶつぶつと
呪文を唱えているのだ。そしてその前には1人の男が両手を広げて、女から、いや教祖からパワーを受け取っているようである。

 ……。

 これって、
儀式ですね? そしておまえたち、怪しい宗教団体だね??



 手を広げているのが信者の方で、教祖は紫のチビ女である。信者の男にパワーを送っているのだが、クフ王のピラミッドパワーが強力すぎるのか、女教祖は
感極まって涙を流している。なんだろう。千野代表だろうか??

 まあ彼らもきっと、遠くロンドンやブリュッセルあたりから(適当)はるばるパワーを得るためにギザまでやって来たのであろう。それはそれは教祖信者おのおの方さぞかし感動しているに違いない。


 ということで、オレはしばらく慎ましく、彼らの様子を見ていた。オレも石棺の写真とか撮りたいが、フラッシュを焚くのも迷惑だろうし、まあ儀式を邪魔しちゃ悪い。

 玄室の角に退避して大人しく待っていてあげること10分。相変わらず教祖は呪文を唱えパワーを振りまき、終わる様子は無い。とはいえやっぱり宗教儀式って
とっても大切なものなので、とにかく団体のみなさんは集中させてあげなくてはダメだ。あと10分待ってあげようじゃないか。
 オレがじっと待っている間にも、日本人含め他の観光客が狭い入り口をくぐって玄室に入ってくるが、このような不気味な集団が不気味な姿で不気味な儀式を行っているため、驚いてすぐに出て行ってしまった。他の人たちもせっかく玄室を見に来たのに、ちょっとかわいそうだな……。
 さて20分経っても一向に状況は変わらない。全信者が石棺を取り囲み、熱心に中央の年増女とのパワーの共鳴を行おうとしている(多分)。これだけの人数がいるにも関わらずシーーーーーンと静まり返っており、ただ教祖の呟くアホっぽい声だけが玄室の壁に響いているのである。

 ……。
 
これはムカつきますよ。今日はこいつらの貸切になっているというのならまだわかるが、そんなことはなく普通にオレもチケットを購入して入っているのである。もういなくなってしまったが他の観光客だってちゃんと別料金を払っているし、このキチガイさん達と同じようにはるばる遠くからピラミッドを見にやって来ているのである。オレだって実に遠くから来たよ。多分ブリュッセルより遠いところから来たから。
 ちなみに係員のようなエジプト人は1人いるのだが、特にみんなが満遍なく見られるように気を配る等の、
仕事をする気は一切ないようであった。

 ということで、オレは儀式に集中するキチガイさんたちの邪魔をしてはいけないと思い、信者の1人の肩を叩き、
なるべく大きな声で質問してみた。


「あのー、すいません。これ、いつ終わるんでしょうか??」



 声をかけたおばさんは、
なぜかわからないがとても不機嫌そうに、こちらを向き小声で「アイ ドント ノー」と答えた。
 知らないって。なんだろう、いつ終わるのかわからないのだろうか。いや……もしかして、
オレの声が小さすぎて質問が聞こえなかったのではないでしょうか?? たしかに日本人は英語が得意でないので、ボソボソっと自信の無い喋り方をすることが多い。これはいけない。もっとハッキリと、間違ってもいいから堂々と話さなければいけないんだ。失敗を怖がらずに自分からどんどん話しかけていけば、日本人だって白人と友達になれるんだ。
 ということで、オレは
もうちょっと大きな声で、がんばって腹から声を出して聞いてみた。



「ハロー! ハロー! すいません!! いつまでこの儀式は続くのでしょうか? 僕も石棺のところに行って写真を撮りたいんですけれど〜〜」



 さすがに今度はわかってもらえたのか、信者の数人がこちらを向き、同時に
睨んできた。なんかこわいなあ。いやよ、そんな目で僕を見ちゃ。そしてその中の1人、隣にいたじじいがオレに向かって、人差し指を口にあてて「シーーー!」とやって来た。

 
いや、シーじゃなくて!!
 いつ終わるかって聞いてるだけなのに答えずにシーはないでしょう!!! 人種差別か!!!!
 人種差別を受けたからにはもう紳士的に話すのはやめて、とりあえず国際人として恥ずかしくないように、オレはちゃんと自分の主義主張を大きな声で述べることとした。


「ここはあなたたちだけの場所じゃないですよね。パブリックスペースですよね」


「あのー、他の旅行者の人たちも迷惑してると思うんですけど。ちょっとどいてくれませんか??」




 ピラミッドの玄室は
そもそもファラオのものでありパブリックスペースでは無いだろうが、まあ現代においてはもう観光場所になっちゃったのでそれでもいいだろう。しかし、せっかくノーと言える日本人を目標にがんばって自分の意見を言ってみたのだが、なんかオレ、完全無視されている。これではまるでオレの方が悪人みたいじゃないか。なんだか、電車の中で暴れる酔っ払いになった気分だ。本来ならオレはそれを止める電車男の立場なのに。
 もう一度、オレは近くの女をつついて聞いた。


「あのねー、何時になったら終わるんですかこれ!!」


 すると女は、今度はヒソヒソ話のような声で「アイ、キャント、テル!」と言い放った。アイキャントテルという言葉を日本語に訳すと、
おまえいい加減に黙れという意味である。まあ、これ以上1人で騒いでもなんか引っ込みがつかなくなりそうだったので、仕方なくオレは大人しく、彼らは無視してしっかり観光することにした。
 信者や教祖は
いなかったことにして、とりあえず信者の間にぐいぐいと割り込みつつ石棺に近づき、フラッシュを焚いてバシバシと写真を撮る。




 ←クフ王の玄室の石棺の写真。
周りに信者がいたり石棺の中に教祖が立っていたりしますが、気にしないでください。






 輪の中に入り込んでうろちょろ、何度もフラッシュを使いもしかしたら教祖信者とも気が散ってしまったかもしれませんが、
まあ悪気があってやったわけじゃないので、許してください。その後もなんか面白かったのでしばらく意味もなく口笛を吹いて邪魔をし部屋の共鳴を楽しんだりしていたのだが、儀式が終わったと思ったら今度は全員が手をつなぎ、玄室いっぱいに広がってなにやらウ〜ウ〜と唸り始めたところで、さすがに怖くなってオレは逃げた。
 うーん。なんだったんだろうあいつらは。オレが出て行った後にピラミッドが崩れて玄室が埋まって
全員死ぬといいのに。
 
ほんと、新興宗教ってやっかいだね。多分「悪いことをしたら地獄に落ちる」みたいな教えがあると思うのだが、新興宗教の信者なんてそれだけで家族や周囲の人間に迷惑をかけているのだから、入信した時点で地獄行きが確定なのではないか。まったく、尊師の写真に向かって毎日祈るとかそんなバカげたこと、グラビア写真に向かって毎日願いを奉げているオレとさほど変わりないぜ(涙)。でも、オレの尊師は毎日変わるけど。

 ちなみに、玄室と石棺はあってもピラミッドから王のミイラが発見されたことは一度も無いらしく、もはやピラミッドは
墓ではないというのは定説となっているらしい。いや、まあそもそもミイラは復活するために作られるわけだから、もともと入っていたけど生き返って出て行ったということもあり得なくは無い。今は普通にカイロの下町でパピルス屋でもやって暮らしているかもしれない。そういえば、昨日土産物屋で妙にガリガリな人見かけたような気がしたんだけど、もしかしてあの人……
 最近では働いていたのは奴隷ではなかったこともわかっており、ピラミッド製作の目的というのは
ナイル川が氾濫して農業が出来なかった時の公共事業であったと言われているようだ。しかし4500年の時を越えているからこそなんとなくピラミッドは凄いもののような気がするが、これが墓ですらないとすれば、当時の経済評論家などからは「せっかく公共事業やるのにただ石を積むだけって何事だ!! どうせならもっと役に立つもの作れよ!!」と批判の声が挙がっていたであろう。

 尚、あの変態宗教軍団のおかげでオレにはさほどピラミッドパワーは振ってこず、オーランドブルームになるという計画は見事におしゃかになった。オーランドがダメなら、
高倉健でもよかったのに……。そもそもピラミッドとピラミッドパワーはヨーグレットとハイレモンのように一心同体の関係なのだ。この2つは絶対に一緒に買うものと法律で決まっているじゃないか。ピラミッドの中に入ったはいいけどピラミッドパワーの注入が無しでは、ハイレモンは無視してヨーグレットだけ購入するようなもので、そんなの都会人とはいえない。高倉健でもヨーグレットを買う時は絶対ハイレモンも一緒に買っているはずだ。安倍首相だってきっとそうだ。

 しかし、ここにはクフ王のピラミッド以外にもまだ見所があるのだ! 次回はメンカウラー王や王妃のピラミッドについて、この私が引き続きコーディネートします。


 ゆうこりん会見中止







今日の一冊は、 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)





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